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家で暮らすために歩く (40-21 )
- fairfax3939
- 2017年6月8日
- 読了時間: 2分

少し前に戻ります。ピアノを手すり代わりにして、居室を出て、玄関に戻りました。これでひと回りです。
父は80歳頃から杖歩行が不安定になり、転倒するようになりました。このままでは、早晩大けがをさせる。そうなったら悔しいなぁと、リフォームを決行。杖歩行から手すりづたいに室内を移動するようになりました。手すりのない広縁などには車椅子で行きました。
有難かったことは、2013年の11月にリフォームしてから、2016年に父が亡くなるまで、丸2年間、一度も転倒しなかったことです。
父の歩行が不安定になると、転ばないようにと私がひどく神経質になって、大きな声で注意することが多くなりました。それは、私が働いている頃、切羽詰まって追い詰められていく、あの感じを思い出させました。そうなることが一番怖かった。何のために一緒に暮らしているのかわからない。笑って暮らすためにどうするか、それだけが判断の基準でした。
リフォーム後、「お父さん、ごは~ん!」と声をかけると、「はいよ!」と父が答えます。ゆっくり、ゆっくり近づいて来る気配を感じながら、私が手を貸すタイミングを計ります。父と私の超オリジナルだけど、平穏な日常が戻りました。リフォームをしなかったら、父の最後の2年間は違ったものになっていたと思います。
たった2年、されど2年…。今思うに、父がよくなると信じて無謀にもエレベーターを取り付けた母の血が、私にもやはり、流れてしまっていると感じます。
