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方向転換(27-2)
- fairfax3939
- 2017年3月1日
- 読了時間: 1分

ちょっと頼みたい。
それが介護保険法の改定によりできなくなりました。介護者が子世代のの場合、生活援助は受けられない。洗濯物は暗くなっても外に干したまま。雨戸も開けたまま。
今まで頼めたことが頼めない。やらなければならないことが増える。
それだけで、あぁ、どうしよう…と追いつめられる。
夕食を段取りしながら慌てて帰り、二階の物干し台から一筆書きのように雨戸を閉める。スーツのままエプロンをして、台所に立つ。ゴム手袋をする余裕がなく、手が荒れて、指紋がなくなって、食器を取り落とす。割れた破片を片付ける。父が踏んでしまったら、麻痺した右足にその欠片が食い込んでしまう。だから、全てを止めて、掃除機をかけ、雑巾でふき上げる。父もくたびれてへとへと。待ってはいられない。もういいと不機嫌に寝室に向かってしまう。
私はうずくまる。
作りかけの料理、スーツで床を拭いている自分、生乾きの洗濯物で囲まれた部屋。お腹はペコペコ。いままで見たことのない日常の景色でした。
(続く)