訪問の介護サービス(21-7)

訪問サービスという支援の中で、実際にわが家を担当して下さった方々は、親戚も友人も知ることない、父と私の当たり前の日常を垣間見ています。
家の中のことは外からではわからない。口で説明しても実際に見るのとは違います。
あの時、彼女いなかったらどうなっていたかなぁ、と思うヘルパーさんがいます。
Kさんの笑顔はただそれだけでホッとできました。
「今日はご機嫌が悪く、何もさせてもらえません。すみません、帰ります」
何度かこんな記述もありました。しかし、彼女は観察力が高く、伝えられない父の意思をくみ上げようとする意欲が明確でした。
父が腹痛を訴えた時、私は便秘だろうと思いました。以前に何度も大騒ぎして病院に駆け込んだことがあったのです。でも、Kさんはいつもと違う、病院だと私を促しました。原因は腎梗塞。処置が遅ければ、腎臓を一つとるところでした。
Kさんはみんなが見る連絡帳とは別に、よくメモを残してくれました。ドリカムのライブの話、美味しいパン屋さんの情報など、業務ではないちょっとした同世代のおしゃべりでした。
Kさんの私への何気ないいたわりに幾度となく救われました。
その後、Kさんは別の事業所でケアマネージャーとして移られましたが、その時に、
父との関わりが、自分が介護職で生きていこうと思った原点だ、とおっしゃって下さいました。
Kさんの入浴支援はいつもカラオケ付き。
「いい湯っだっなっ、あははん~♪」
仕事から急ぎ帰り、車から降りると、外にもその明るいソプラノが聞こえるのでした。