訪問の介護サービス(21-5)

ある日、鯖のみそ煮がピンクのパン皿に盛り付けてありました。
その思いがけない取り合わせに、私は一瞬固まりました。
他に食器がないわけではない、なぜこのお皿を選んだのだろう…。
そして、こういうことなんだと、わかった気がしました。
人に任せるというのは、こういうことなんだ、と思いました。
「人に任せる」 ≒(イコール) 「自分の思い通りにはならない」。
嫌なら自分がやるしかない、できないのだから、それは人にお願いしてやってもらうしかない。お願いできるだけ、よしとしなければならない。
私が細かいことをあれこれ言っても意味はない。
安否確認、それ以外は小さいことなんだ、気にしてはいられない、と。
家に帰ると、父が苦い顔をしています。
何か嫌なことがあったのかな、と思うけれど、連絡帳に書いていなければ、そのことはわかりません。きっとヘルパーさんも一生懸命やって下さる中で、コミュニケーションがとりにくい父との関りは難しい支援だったと思います。
わが家のように、介護者が在宅せず、利用者本人が要望を伝えられない状況での訪問サービスの利用は、必要だけれど、綱渡り…。そんな感じでした。
(続く)